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療養泉の分類と効能

 療養泉とは、温泉のうち、温度、含有成分の質、量などから「医療効果が期待できるもの」で、9種類に分けられています。

 下に療養泉の分類とおもな効能をまとめてみました。

単純温泉

 含有成分が、いずれも基準量にみたず、1kgの温泉水を蒸発させて残った固形成分、遊離炭酸の量も1g未満の濃度が薄い温泉。 しかし、源泉が25度以上あり、温度面から温泉法の基準を満たしているもの。 例えば、薄い食塩泉、硫黄泉、重曹泉も「単純温泉」に入ります。 一口に単純温泉といっても、体への効果は溶けている成分によって異なります。 総じて刺激は弱く作用も穏やかでクセもありません。 高齢者を含めて万人向きで利用範囲も広い温泉です。
 名湯と呼ばれる温泉も多く、下呂温泉(岐阜県)、鹿教湯温泉(長野県)などがあります。

二酸化炭素泉(炭酸泉)

 成分の炭酸ガス(二酸化炭素)が無数の泡となって肌にくっつく「泡(ビール)の湯」。 温度が高いと炭酸ガスが飛んでしまうため低温ですが、保温効果は高いのが特徴。 末梢血管、微小動脈を拡張させて、心臓に負担をかけずに血圧を下げ、血行も促進させることから「心臓の湯」といわれます。 高血圧症、動脈硬化症、頸肩腕(けいけんわん)症候群、リウマチに効果があります。 飲用すると、胃粘膜の血行をよくして、食欲を高め消化活動を助けます。 欧州の温泉に多い。

 日本には少なく、長湯温泉(大分)が有名。

炭酸水素塩泉

 陽イオンがナトリウムのナトリウム炭酸水素塩泉(重曹泉)は、アルカリ性で皮膚表面の角質を軟化させ、皮脂や分泌物を乳化して洗い流すため肌がすべすべになるのが特徴の「美人の湯」。 皮膚が浄化されて放熱が高まり入浴後に清涼感をもたらすので「冷の湯」とも言われます。 飲用すると胃酸を中和し、胃の運動を促進して胆汁の分泌を促すので肝臓、すい臓、胆のうに効果があります。

 陽イオンがカルシウムのカルシウム炭酸水素塩泉、同マグネシウムのマグネシウム炭酸水素塩泉は、鎮静、鎮痛、抗炎症、抗アレルギー効果があります。 アレルギー性疾患、リウマチ、慢性皮膚病に有効で、飲用すると利尿効果があり、痛風に効果があります

 湯沢温泉(茨城)など。

ナトリウム塩化物泉(食塩泉)

 皮膚についた塩分が体温の放散を妨げるので保温効果が強いのが特徴の「熱の湯」。 関節痛、筋肉痛、リウマチなどに有効です。 飲むと胃酸の分泌を整え、腸の運動を活発にさせるため「胃腸の湯」ともいわれます。 殺菌効果があり、傷の治療、うがい、吸入にも使用できます。

 同様に海水浴、海水風呂は、食塩泉への入浴と同様な効果があり、欧州では海浜の気候も利用してタラソテラピー(海洋療法)がおこなわれています。

 熱海温泉(静岡)、片山津温泉(石川県)など日本全国にあります。

硫酸塩泉

 陰イオンには硫酸イオンを含んでおり、陽イオンによって4種類に分類されます。
 陽イオンがナトリウムのナトリウム硫酸塩泉(芒硝泉=ぼうしょうせん)は、末梢血管拡張作用(降圧作用)が強いので、高血圧症、動脈硬化症に効果があるほか、外傷にも有効です。

 同カルシウムのカルシウム硫酸塩泉(石膏泉=せっこうせん)は、カルシウムの鎮静・消炎作用を利用して、切り傷、やけどなどに用いられる「傷の湯」、飲用ではじんましん、慢性湿疹、胆道疾患、便秘に有効です。

 同マグネシウムのマグネシウム硫酸塩泉(正苦味泉=せいくみせん)は日本では少なく、上記芒硝泉、石膏泉に似た効果があります。

 同アルミニウムのアルミニウム硫酸塩泉(明礬泉=みょうばんせん)は、刺激が強く皮膚や粘膜を引き締める収れん作用があるので皮膚病などに用いられ、「目の湯」とも呼ばれます。

 黒川温泉(熊本県)、法師温泉(群馬県)、万座温泉(群馬県)などがあります。

鉄・緑ばん泉

 陽イオンが総鉄イオンで、おもな陰イオンが炭酸水素イオンの炭酸鉄泉と、おもな陰イオンが硫酸イオンの緑ばん泉に分類されます。 緑ばん泉は、硫黄泉や酸性泉と併存することが多く、体への刺激が強い温泉です。 湿疹、リウマチ、更年期障害などに効果があり、飲泉では貧血に効きます。

 天狗温泉(長野県)、有馬温泉(兵庫県)などがあります。

単純硫黄泉・硫化水素型(硫黄泉)

 炭酸泉同様に、末梢血管拡張作用が強く、動脈硬化症、高血圧、心臓病に適しており「心臓の湯」と呼ばれています。 脱脂、漂白の他、解毒作用があり、飲用では金属中毒、薬物中毒に有効で、便秘にも効きます。

 硫化水素ガスには痰を取り除く作用があるので、慢性気管支炎、気管支拡張症などによく「痰の湯」とも呼ばれます。 ただし、有毒なので換気に気配りをし、湯あたりにも注意すること。

 日光湯元温泉(栃木県)、箱根温泉郷(神奈川県)などがあります。

酸性泉

 溶けている硫酸や塩酸により飲むと酸っぱく、肌にしみます。 強い刺激作用、抗菌作用を利用して皮膚病などの治療に用いられます。 明ばん、緑ばん、硫化水素などを含んでいることが多く、それぞれ酸性明ばん泉、酸性緑ばん泉、酸性硫化水素泉などと呼ばれます。 浴用では皮膚のただれ、湯あたりを起こしやすく、飲用では歯を溶かすので注意が必要です。

 玉川温泉(秋田県)、草津温泉(群馬県)が有名。

放射能泉

 ラジウム泉といわれ、ラドン、トロンが主成分。 飲用すると利尿作用があり、痛風や慢性の尿路疾患に効果があります。 また、鎮静作用があるのでリウマチ、神経痛などに効果があるほか、卵巣や睾丸の機能も高める作用があります。

 一般に放射線は有害と言われていますが、有害物質でも少量ならば薬となる「ホルミシス効果」があるとされており、がん患者さんなどが免疫力アップに訪れています。 ラドンは気体なので、吸入するのがよいとされています。

 三朝温泉(鳥取県)、増富温泉(山梨県)などがあります。

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